【オフシーズンインタビュー Vol.2】吉田 俊介

オフシーズンインタビュー Vol.2 吉田 俊介

フットサルデザインがフォーカスしたい人を取り上げる特別インタビュー企画。

今回話を伺ったのはvoce e amador/イナスタ選手兼監督、吉田俊介さん。愛知県フットサルリーグ OPENリーグの会場でも使われている稲沢フットサルスタジアムのマネージャーでもある。

吉田俊介
稲沢フットサルスタジアム マネージャー
voce e amador/イナスタ 選手兼監督

 

明日から実施の2018 第12回長野オープンU23選抜フットサル大会の愛知県選抜チームの監督も任されている。
今回はU-23選抜チームの活動に伺い取材を実施、特別インタビューを実施しました。

 

 ▶ 監督としての顏

—吉田さんの監督、プレーヤー、施設スタッフである吉田さんのそれぞれの側面についてお話を伺いたいです。
まずは、監督ついてですが、監督をご自分でやるのは好きですか?

んー…、最近やっと好きになってきました。笑

—最近ですか笑。
監督暦はどれくらいですか?

voce e amadorでずっと選手やってんですけど、どんどん上の人達が抜けて行き、気づけば自分が中心になっていました。だけど、このままだとな~というのもあったころにちょうど自分がU-23に選手で参加して、その頃にROBOGATOに誘われて、2年間上で経験をさせてもらってからvoce e amadorに帰って来ました。
帰ってきた時から、正式に選手兼監督になりました。帰って来た年が県リーグ2部に落ちてた状況で、その年に優勝して1部に上がって、2~3年くすぶってる感じです。

—voce e amadorの監督を丸4年やったところですね。
やっと「監督」が好きになってきたっていうのは、自分の中で何か変化があったんですか?

チームでジュニアを作って、大人に伝えることと子供に伝えることってやっぱり違うんだなと。大人はある程度考えられるので、伝え方とかを気にしなくても、やって見せたりボード上で説明して伝わることも多くて、そんなに苦労しないんです。voce e amadorの選手はみんな真面目で、よく聞いてやってくれるので、監督としてはやり易いチームでした。だから、監督としはそんなに苦労してこなかったです。
でも、ジュニアはそうは行かない。だから、色々と指導者としての勉強をするようになって、ようやく自分の中で指導者としてのやり方、自分の形が、少しづつ出来てきましたね。それを逆にトップの方へも活かしていけるようになって来ました。

—ジュニアの指導はどれくらいの年代ですか?

今見てるのはU-12です。指導を始めてちょうど丸3年が経ちます。
なので、ようやくという感じですね。それまでは全然指導者という感じではなく、中心選手として決めて仕切ってやっていたんですけど、ジュニアを教えるようになってからは、きちんと選手兼監督になったのかなという感じです。


愛知県U-23選抜の活動にて。練習試合で選手はヒートアップする中、静かにピッチを見つめる吉田監督

—影響を受けた指導者はいますか?普段の県リーグの立ち振る舞いを見ていて、パッションで話すタイプではなく、多くを語らない方だなという印象がありまして。

誰かに影響を受けたというのはあまりないですね…プレイヤーとしては試合中も声を出しながらやってるんですけど、もともと気持ちを前面に出してやるようなタイプではないので笑、冷静に考えながらやれたらという思いがそうさせているんだと思います。ジュニアの方はもう少し熱くやっていると思いますよ。

トップの方はそれぞれの役割があるので、選手が盛り上げてくれればと思っています。何から何まで自分がやらないようにとも思ってます、試合は選手がやるものですからね。自分は選手であり監督で戦術とか練習を考える人ではあるものの、チームにキャプテンも作りますし、あとは皆でやって行こうと。でしゃばり過ぎず、もっと各々の発信でやっていける状況を作らないなという思いもあります。

—選手兼監督ならではの「楽しい」「難しい」と感じるのはどんな所ですか?

楽しいはあんまり無いですね笑。難しい、しかないです。

—気を遣ったり、考えたり?

やっぱり指導者としての勉強をするまでは、全然なんとも思ってなかったですし監督兼選手なんて問題なかったんですけど、指導者になってみて、それを同時にやることって難しいなって。チームにとって、自分がプレーヤーであることは今は必要なことなんですけど、練習も試合も自分が選手として入らずに、外から見るだけの日とかは、良い練習ができるし見えてくる情報量も全然違うんです。だからその度に、選手兼監督でいいのかなって思います。

—難しい所ですね。

良い練習が出来たからこそ、これをいつもやらなきゃいけないと思います。自分がプレーヤーとしてやると自分自身も熱くなるし、冷静に考えたり、状況を見極めることも難しいなと。熱くなれば頭も回らず、疲れも出てくるので、本当に難しい。だからこのままで良いのかどうか、いつも疑問に思っています。選手兼監督が本当に成立している人がいるなら、参考にしたいですね。

—監督目線で選手のどんな所を評価したり、どういう風な選手が好きですか。

自分の好みですね…。

—言いずらいかもしれませんが笑。

やっぱりゲームを作れる選手はチームに絶対必要だなと思います。全体的にサイドの選手が多い気がしていて。真ん中の選手、フィクソやピヴォ、ゴレもそうですけど、真ん中で軸になれる選手が少ないのかなと。それが愛知だから、日本だからかは分からないですけど。そんな印象があるので、選抜でも自分のチームでも、まずフィクソとピボ、軸になる選手は欲しいなと強く思います。

—それはvoce e amadorでも?

voce e amadorでもです。ゲームを作ってくれる、落ち着かせてくれる選手。まぁ・・ピボも欲しいな~。

—軸になる選手がいると、ゲームやプランも組み立てやすいですよね。

一番好みなのは、ゲームを組み立て、落ち着かせてくれる選手ですね。

—例えば?

名古屋オーシャンズサテライトの颯真。水谷 颯真選手なんかは、落ち着いてて上手いと思います。左利きでああいうタイプは中々いないなって。

—ボールをしっかり納めてさばきますよね。

派手じゃないですけど、落ち着いてバランスをとって、ゲーム全体を見渡せているような気がするなと。点も取れるし、ゲームも作れるし、監督としてはすごく使い勝手の良い選手で、良いと思います。

 

 ▶ 点取り屋でありながら、監督目線を怠らない


怪我でピッチに立てなかった第9節以外は選手権監督として、県1部の舞台で得点を量産


—わかりました。次に、プレーヤーとしての側面についても聞かせてください。
今シーズン、得点王争いに絡み、10点で得点ランキン2位でした。シーズンでシュート数70本というのは得点ランキングの中でも最多です。チーム戦術もあるかもですが、吉田さんがそれだけシュートを打つというのは、何か狙いがあったんですか?それとも単なる自信の表れだったのでしょうか?

打ってるならもっと決めなきゃいけないんですけどね笑!
今でこそ後ろで組み立てとかしますけど、もともとプレーヤーとしては、選抜とかROBOGATO時代はピヴォだったし前線の選手なので、点取りたいです。なので、それが出てるだけかなって。ただ最近は10点中ほとんどがセットプレーで、数えたら9点がセットプレーだったかな。

—確かにvoce e amadorはセットプレーが強いなっていうイメージがあります。

こだわってやってはいるんですけど、結局やっぱりシューターに俺が入ることが多いので、今年は逆に言うとセットプレーでしか点が取れなかったなっていうイメージですね、個人としては。昔はかわしてドン!というのが多かったですけど、ちょっと歳とってきたのもあって笑…そんなゴールばっかりで。ま、それはそれ良いんですけど。

—今後のなりたいプレーヤー像は点の取れる選手?

はい。でもそれはチーム皆に目指して欲しいし、本当は俺が一番シュートを打ってる状況じゃダメだと思ってるんで。なので、もっとそういう選手が出て来て欲しいと思うし。

—それは監督としての立場の意見?それとも一プレーヤーとしての立場で?

監督としてですね。もっと若手がガツガツいって欲しいし、ガンガンいって欲しいって思います。全然俺よりもシュートを打つべきだと思うし、俺が点取ってるようだったら、上に行くのは難しいのかなって思います。個人としては点取りたいです、フットサルは点取ってなんぼだと思いますし。

—そうですよね。
voce e amadorの強みとか、チームの自信があると思うのはどんなところですか?

ん~と、皆が強みであり弱みであるとも感じてる部分が、真面目で素直。
俺が作るチーム戦術とかサインプレーとか、そういう所を皆しっかりやっていて、それが良さだし、チームとして徹底してやってくれてる。

ただ、良い意味でそれを無視するとか崩してくる、そういう部分が無いのが弱さなのかな。例えば一人でも点取っちゃうとか。怖さがないっていうところ。

けっこう自分の中ではそこは悩み所というか、課題。どっちがいいだろう、凄いイケイケな言う事聞かない集団をまとめるのも難しいし、凄い真面目な選手たちを自由にさせるのも難しいし。どっちがチーム作りとしてやり易いのかって言うと、チームのプレーをやってくれる選手達の方が、指導者としてチームを作り易いと思います。だからvoce e amadorはやり易いんだけど、「真面目だなぁ~」という感じはしますね。

—そういう事ですね。

チームとして少しずつ成熟して来ているので、成熟しているからこそ崩せるタイミングも出てくるのかなと。最初作って来た頃は、形にこだわって来たんですけど、最近は細かく言わずに自由にやらせてもチーム戦術が出て来て、その中で個とチームが噛み合ってくると、強くなるのかなって。

—一応確認ですけど、来季もvoce e amadorで選手兼監督をやられるんですよね?

はい、その予定です。

—では聞くまでもないかもしれませんが、来季の目標は?

もちろん東海昇格。もうそこだけですね。全日本とかもあるんですけど、全てリーグ戦にかけたいなと。

—リーグ戦ですよね。

まず東海に上がらないと、チームとしても、組織としても、トップチームなので東海にいないと。施設側としても、東海にいないとと思うので。プレーヤーとしても勿論東海でやりたいですし、施設・クラブの運営上、東海にいないと。ジュニアの子供達の目標になっていかなきゃいけないし。

—ユニアオみたいに?

ユニアオは俺の中ではモデルケースで参考にさせてもらっているチームなので。

 

 ▶ フットサルを盛り上げたい

—施設の話が出たのでお伺いします。イナスタ(稲沢フットサルスタジアム)は愛知で最も活気のある施設の一つだと思います。どんな施設にしたいですか?

そもそも施設の人間として、今までフットサルを盛り上げようという感覚が少し弱かったのかな、というのが正直あります。これだけフットサルに携わらせてもらっているので、フットサルというスポーツを盛り上げる事に関わって行かなきゃいけない責任も出て来てる、自分自身もこの仕事をして行く中でフットサルが盛り上がらないと成立しないので。
どうしてもイナスタって、競技向けとか、結構やってる人向けの施設なのかなって。スポーツコートだし、広いって言われるし。なので、そういう意味ではエンジョイの人たちも楽しめるような、ジュニアも含めて裾野を広げるためにも、そういう環境を作っていければ良いかな。

—他の施設と比較して、スポーツスタイルで広いし、県リーグもやってる施設だし、施設の人は上手だし。競技向けの印象なのかもしれないですね。
フットサルの裾野を広げて行く事は具体的にこうしようというのはあるんですか?

まだ全然決まっていないんですが、もっと子供達もフットサルに入って来て欲しい。地域と絡んでフットサル教室をやって行ったりとか、何か地域の子供達のためにとか、高齢者とかまだフットサルを知らない人達に知ってもらう活動とかをやっていければ良いなと思ってます。

—わかりました。
最後に!U-23について、楽しいチームになりそうですか?
(取材時は練習は3回目、長野遠征の最終メンバーは未定)

最初はどうなんだろうって思っていたんですが、今日の練習試合を見たら行けそうだと感じました。

—今までU-23選抜のコーチをやることはあっても、監督をやるのは初めて?

初めてです。一昨年は途中から合流してお手伝いで入らせてもらって、去年はシンさん(若山 伸太郎)が監督で、僕がコーチで1年やりました。
今年はシンさんが大会に来れないので僕になっただけなので。
ただ、監督となると荷が重いと言うか、重圧を感じてます。勝手にプレッシャーを感じてやってるので、良い刺激になってます。自分の指導者としての経験はかなり大きいと思うし。

—吉田さん自身はU-23選抜の時は…

僕ら初優勝メンバーです。

—じゃ、最低限その成績は残さないと笑。

そうですね、去年も全国優勝しているし。
今年はオーシャンズサテライトはキーパー入れて5人位ですね。

—サテライトの力と言わず、行きたいですよね。

そうですね。やりがいはありますよね。

—結構色んなチームから集めているんで、楽しみです。大会は3月16日~18日?

是非遊びに来てください。初日に来てください、負けたら3日目ないんで。

—期待しております!ありがとうございました!

 

 


監督・選手・施設と本当に様々な側面でフットサルに携わる吉田さん。
既に多方面での活躍をしているが、これからも愛知のフットサルをけん引していくキーマンであるのは間違いない。

 

稲沢フットサルスタジアム:http://www.inazawa-futsal.com/

ボセアマドールフットサルクラブ(ボセアマ)公式HP:http://voce-amador.com/