【オフシーズンインタビュー Vol.1】村松 裕樹

オフシーズンインタビュー Vol.1 村松 裕樹

フットサルデザインがフォーカスしたい人を取り上げる特別インタビュー企画。

今回話を伺ったのはFutsal Clube UNIAOスタッフ、村松裕樹さん。スペイン留学の経験を活かし、フットサルを指導。また、スペイン流フットサルやサッカーの基礎知識・動画を紹介する情報サイトでも有名。

村松裕樹
スペインサッカー協会公認フットサル指導者レベル1|ユニアオU-12監督|ユニアオU-15監督|ユニアオU-18監督

 

先日行われた第23回 全日本ユースフットサル大会ではユニアオU-15の監督をつとめ、全国ベスト4という結果を残した。
今回、U-12カテゴリーの指導現場に伺い取材を実施、特別インタビューを実施しました。

 

 ▶ 村松裕樹 × フットサル × スペイン

—まずは、村松さんのフットサルの経歴を教えてください。

大学2年生の時にサッカーやりながら、フットサルをやり出して、誘われる大会に行ってたってくらいが最初。ARTを皆でやり出して、大学卒業する時にカスカベウに行って、そこで2~3年くらいやって、ARTに戻った。
それでフットサルやめようと思ったんだけど、友達にGANGに行ってるやつがいて、そいつが最後一緒にやろうよってなってGANGに。
そこで一年経たなかったけど、ちょうど自分の仕事の方で色々あって、どうにかしながらサッカーとかそっち関連で飯くいたいと思った。それで仕事やめてスペインに行って、学んで帰ってきたところでユニアオに来て1年半くらい選手やった。

—そうなんですか。その時スペインに行ったのは、どのくらいの期間だったんですか?

2年。

—何年前くらいですか?

帰って来て5年目くらい。今、俺34歳だから、多分行ったのは27歳くらいの時だったと思う。2年スペインで過ごして今に至る。それからはずっとユニアオだよ。プレイヤーやって、あとはもう指導役だ。ユニアオに帰って来たのは育成の方を任せてもらえるから、スクール育成をね。

—なるほど。
U12のカテゴリーの指導を拝見させて頂きました。指導について印象的だったのは、上から目線じゃなくて、子供を従わせようっていうのが全くないなっていう点でした。スペインの時の経験が大きく影響してるんですか?

もともとずっと選手の間は、サッカーの監督に対してすごい不満があったから、こういう風にはなりたくないっていうのがあった。スペインはそんなに関係ない。

—それはつまり、サッカーの時に受けてた指導がすごく高圧的だった?

そういう思いは結構あった笑、今や感謝しとるけど。
でもまぁスペインに行って、決断が凄く大切なんだっていうのを、改めて理論的に学べたかな。従ってもらわなあかんことも当然あるんだけど…。

—スペインで決断の重要性を感じたっていうのは、どうやって学んだんですか?

あっちではもうそれが普通だから、よく言葉で出てくるよ。
日本人に足りないものは何ってスペイン人に聞くと、大体一つ目に決断って言われる。で、決断ってなんだろうなって思うじゃん。勉強を進めていくに当たってそういうワードが出て来る。大きく割ったら「認知」と「決定」と「実行」ていう過程全部。

あとミゲル(元フットサル日本代表監督)が日本代表を連れて日本に来てくれた時にちょっと話させてもらったときも「決断」って言ってて、謝らせないって言ってた。謝ると、マイナス・ネガティブにしちゃうんだろうね。シュート打てるとこでも打たず、パスしちゃうとか、失敗を恐れてる。本当に恐れてるか分からないけど。客観的に日本人を見るもんで、シュート打たないってことは、ミスを恐れてシュート外れるって思ってる。

でも日本人は違うじゃん。そこは多分恐れてるんじゃなくて、こっちがいいって思うからなんだろうけど。勇気を持ってプレーできないってことは、確かにそうだなって思うから。そこの勇気を持つにはどうしたらい良いかを日本人の指導者は教えられてないから。もしかしたら、日本人の選手は勇気を持ってないとは思ってない。でも他から見たら、そう思われるようなプレーをしてる、今の俺から見てもそう思うし。

だからユニアオは、大胆な決断の姿勢を自分達の糧にして、そこに向かって選手をもって行こうって考えで統一してる。だから自分も頑張らなあかん、上からじゃなくて、頑張って横からいかなあかんってのがあるね。

 

 ▶目の前の一戦に臨むマインド


出典:チーム紹介 | 第23回 全日本ユース(U-15)フットサル大会|大会・試合|JFA|日本サッカー協会

U-15 全日本ユースフットサル大会に東海地域代表として出場したユニアオU-15。全国ベスト4に輝いた。

—この前のU-15 全日本ユースフットサル大会で、東海大会では優勝、全国ベスト4っていう結果でした。その決断というのは、普段のチームの活動からすごく共有されてるものなんですか?

あいつらがどんだけ思ってるかは分からんけども、意識はしてきたよ。

—子供達が決断をできるようになったエピソードや、そういう場面、瞬間はありましたか?

フットサル的な決断で行くと、身体の向きとか。で、それは当然うまいんだよね。
で、もう一個心理的な決断があって、それこそ自分の中に大胆な優先順位をしっかりもって、敵がどう来ようがその優先順位をやるためにブラされない。

正解になるか分からんけど、あいつら(ユニアオU-15 全国3位メンバー)が小学校6年の時の同じような大会、バーモントカップ。あの時では愛知県でベスト16にも入らんかったかな。ブリンカール(全国優勝チーム)なんか見てもくれない感じ。じゃぁその試合にどう臨んだかっていうと、もうガチガチだったし、良いプレーを出せたかっていうとそうも思わんかった。頑張っとったけど、緊張もしてたし。

それが、この前は全国大会の舞台に立っても堂々としてて、あれって思った。予選ぐらいだったら、もう少し緊張したりするかなと思ったら、全然堂々としてた。自分の中でブリンカールの試合は、もう少し行けたらなって思いはあったけど。まぁでもガチガチだった選手が中3になって堂々としてて、全国の準決勝でちょっと自分の方が決断でちょっとビビっとるかなって思ったくらいだから笑。

—しっかり試合に臨むマインドが出来てたってことですね。

と思う。

—全国大会を振り返ってどうでしたか?

あそこまで行けたらすげーなって、良くやったなって感じだけど、俺らは毎週の試合に向けて、一戦一戦、常に一試合一試合だから、全国大会だからと言っても変わり映えなくて。どの試合とも一緒の一試合だったから。例えばいつもの練習会場でやる一試合と変わりないっちゃ変わりない感じで、一戦一戦やって来たらから。あれ、こんなとこまで来たんだっていう戸惑いはあったよ、ここまで来ちゃったかみたいな。特別感はないよ。

—目の前の戦いを積み重ねた結果が準決勝の舞台だったっていうことですね。

 

 ▶ メンバーとの仲間意識

—育成カテゴリーの指導で一番の醍醐味ですか?

一番は無いな。でも本当の醍醐味は選手達と楽しめることかな。横にいれれば俺はそれが幸せで楽しい。
でも同時に難しい。自分がたまに出ちゃうからさ。やっぱり、色んな常識を持っちゃってて、こうだったらこうだろ!ってのがあるじゃん。それがある中で、(一歩離れて)一個見ることにしてる。何かやってても、表面上しか見てないと「それあかんやん」って言いたくなるようなことをやるんだけど、我慢して見とると「こんなすげーことやってるんだ」って思うから。

—例えば?

今片付けの時間だよって言って、物を片付けとる中で、片づけずに選手同士で話してる。基本的には片付ける時間だから、「片付けろよー」と言うけれど、なんでそいつらが二人で話してるかって言ったら、一見自分たちが喋りたいことを喋ってるようで、実はそうじゃないことは多くて。極端に言うと、例えばその選手がどこか痛めてるから気にかけてたり、一人の選手が落ち込んでるから話しかけとったり、色んなパターンがあると思うけど、そう言う事って多い。だから、そこを疑って入ると、怒ってしまうけど、疑わずに信じると、実はそんな素晴らしいことをしてるんだって発見もある、って事かな。

—本当に選手と同じ目線ですね。ナチュラルに村松さんがそうなってる感じですけど。

そこは正解はないんじゃないかな、本当に悪い事しとる時もあるから。

—立場上、監督として言わなきゃいけないですものね。

そう。そこを見逃しちゃうと、チームとして良くないことになるから難しいよ。でも、俺は割と目を盗んで何かやろうとしてきた方だから、なんとなく分かるかもしれない。過去に選手がルール破って隠してたのを見つけた時は発狂する。それはもう凄まじく怒るよ。それも自分の中で仲間として怒るかな。
信じてたのに、なんでそこ裏切るのって感じだよね。

—”仲間”として裏切られたって感じで怒るわけですね。

だから余計に怒れる。上からじゃなくて、個人的に怒ってる。お前ら上からって思っても、俺は違うし。

—なるほど。それは説得力ありますよね。


仲間意識からか、指導中も自然に笑顔がこぼれる。

 ▶ “インプット”と”発信”

どうしても村松さんに聞いておきたいことがあります。
村松さんと言えば、スペインのフットサルサッカーを紹介するサイトで日本全国的にも有名です。そもそもどういうきっかけで始めたんですか?

自分だけが動画見てるのは勿体無いから、自分が見た動画はそのまま垂れ流そうと思って。

—自分の周りとか、日本全体の育成・発展に繋がって欲しいなって想いがあるんですか?

それはあるね。普通なら見れないものも、誰かが発信すれば見れるんで、自分がやりだした時は、そういう人もいなかったっていう認識だし、やれるんだったらやってみようかなって。

—スペインのフットサル、もしくはスペインに取り憑かれてる一番の魅力はなんですか?

いや、別に。もし他の言語も分かって、そっから情報が入って来てってなれば、それも垂れ流せばいいと思うから。
たまたまスペイン語が分かって、そこから情報を仕入れるからやる。ブログに書いてるものも二つ分けてあって、最初は自分の学んだことをそのまま垂れ流せば有益になると思って一生懸命やってたけど、ある程度やって来てる。

もちろんスペインのフットサルの現場とか凄い楽しいし、それの虜っちゃ虜だけど、ブラジルもポルトガルも凄いと思う。あとは他にも凄い国とかあると思うから、出来れば見たいと思う。

—イランとかロシアとか凄いレベルも高いですしね。今も定期的にスペイんは行かれてるんですよね。

1年に1回ね。

—他のところへ行こうとかも?

自分の知り合いでタイに行く人たちがいて選手も連れて行ってる。それも出来れば便乗して行きたいって思ってる。ただ、まだ自分の力不足で作れてない。時間があればもっと色んなとこへ行きたいどね。

 

 ▶ 目標

—フットサルについて村松さんが今もっている夢とか目標ついて伺いたいです。

夢と言ったらいいか分からないけど、すごくスペインにいた時に思ったのが、サッカーの影響力はすごいし盛り上がるってこと。あと、日本がW杯サッカーで優勝する瞬間に生きていたいと思ってる。そのためにフットサルで俺ができることって一杯あると思ってて、夢と言ったらそれかな。

短期的な目標は、育成が充実したクラブを作って、そこからサッカーに行く選手が出てもいいと思うし、育成方法がすごいってなれば、サッカーからもちょっとは注目してくれるかなって思ってる。W杯で優勝することも、育成が大切だと思ってる。だから、育成でここ凄いんだ思ってもらえれば、少しは日本に影響を与えられると思ってる。それが一つの目標。それから、育てた選手で、日本のフットサルも高いレベルで勝負出来らた面白いし、それも一つの目標。で、それを通じて地域ぐるみでフットサルが話題になったりとか。

—十分なってないですか?

まだまだ。ユニアオ勝ったの?負けたの?とか、地域の子ども達や家族の間でそういう話がもっと出てっていう存在になったら面白いなって。

—育成の部分から外れるかもしれませんが、去年日本女子リーグが一宮開催であったじゃないですか。ただフットサルを観に来るのに1000人近くを集められる。勿論、皆の努力があってこそだと思うんですけど、地域に根付いてる、影響力のあるチームだとは思います。

それはまだまだだよ。もっとフットサルの面白さとか伝えられると思うし、うちが努力しないといけないところだと思う。

やっぱサッカーとかJリーグの方が憧れはあるよね。そっちの方で勝負して、スタジアムの中で監督やれたら楽しいだろうと思う。元々サッカーもやってて、良さも分かるし。でもフットサルも好きだし、どっちもかな?

—同じフットボールですしね。お客さんを呼んで、沢山の人に影響を与えるとなると、サッカーの方が大きいかもしれませんね。

でも、現代において、日本で何かやってやろうと思った場合、サッカーよりフットサルの方がいい部分もあるかもしれない。
やっぱりサッカーチームの方が多いし、サッカーで全国3位取ろうと思ったら、難しいでしょ。フットサルだったら取りやすいっちゃ取りやすい。分からんけど。

もし一宮にサッカーチーム作ろうと思ったら、色々難しいと思う。だけど、今はフットサルチームも少ない中で、フットサルチームをうちがやると言って、そこで進んでいけば、まだ未開拓だから可能性は凄くあるんじゃない。そういう意味では、フットサルは可能性があると思う。まだ全然知られてないし。そんなところだね。そういう意味でフットサルは楽しいかな。

—夢がありますね。更なる飛躍に期待しております。

いや手伝ってよ笑。

—分かりました、フットサルデザインができることであれば笑。

 


今年も3月からスペインに向かい自身の哲学に磨きをかける村松さん。
彼の行動からは育成年代の指導から本気で日本のフットサルを変えたいという想いが伝わってくる。

フットサルの村松:https://futsal4.blogspot.jp/

フットサルの動画記事:http://futsalnippon.blogspot.jp/

Futsal Clube UNIAO 公式サイト:http://viva-uniao.com/

育成カテゴリーオフィシャルブログ:http://factory.viva-uniao.com/